ブラウスを脱がそうとすると、依澄は体をよじった。
「……駄目、です」
「え? でも」
脱がさないと先には進めない。守は戸惑ったが、依澄は首を振る。
「……着たままで」
「それが必要なの?」
頷かれる。残念に思ったが、仕方がない。
「ボタンくらいは外していい?」
依澄の了承を確認して、守はブラウスのボタンを外していく。
白いブラジャーが形のいい胸を覆っている。果物を包む発泡スチロールのように、果肉を包んでいる。
依澄が上半身を軽く浮かせた。守は背中に腕を回し、ホックを外そうとする。だが、うまくいかない。
考えてみれば人の下着を剥ぐのは初めてだ。うまくいかないのも当たり前かもしれない。
依澄は赤面しながらもおとなしく待っている。
ようやく外して現れた乳房は、守の脳細胞を弾けさせるに十分すぎるものだった。
仰向きでもふっくらと張りのある胸。白い丘の頂点にある突起物とその周りは綺麗な桃色で、思わず吸い付きたくなる。この歳でピンク色って、結構珍しいんじゃないか。
依澄は不安げな眼差しを向けてくる。顔はずっと紅潮していて、緊張が解けていないようだ。
守は双房を両手で包み込むように触る。依澄の体が一瞬震えた。
つきたてのモチのように柔らかい感触だった。ふにふにとした肌触りは直接脳を揺さぶるようで、心酔しきってしまうほど心地よい。
力一杯揉みしだきたいという願望が沸き起こる。しかし目の前の乳房は潰れ千切れてしまうのではないかと危惧するほどにか弱く感じる。
「……ん……っ」
幼馴染みの口から小さく息が漏れる。
守はしばらく感触を楽しむと、先端に口を近付けた。
「!」
右の乳首に吸い付いた瞬間、依澄が悲鳴を上げた。
柔らかい体の中でピンポイントに固い部分を、ついばむように口でいじる。コリコリした感触は軟骨か何かのようだ。
乳首だけではなく乳輪全体を舐め回すと、悩ましげな声が上がった。
「……っ、…………ん……んん…………んっ」
途切れ途切れに放たれる声は、部屋の空気に浸透するように消えていく。守が聞いたことのない、依澄の恥ずかしい声。
耳を打つ度に青年の興奮も上昇していく。
左の乳首にも舌を這わせ、交互に刺激を送り込む。依澄は頭を小さく左右に振った。普段の冷静な姿はどこにもない。
上気してきたのか、肌が赤みを帯びてきた。胸は頂点を中心に唾液で濡れ、部屋の明かりを薄く返す。
吐息が色っぽく艶を増していく。それに合わせて徐々に激しく揉み込んでいく。弾力の強さになかば感動し、さらに行為に没頭した。
舌を離し、今度は首筋に狙いを定める。喉からうなじ近くまで舐めていく。
「は……あっ……」
首を責められると本能的に口が開いてしまうようで、くすぐったそうな声が幾分強くこぼれた。
汗がじっとりとにじみ出てきている。舐め取るとしょっぱさが舌に広がった。
「っ……は…………んんっ!」
首筋からさらに上に、滑るように舌を持っていった。顎先から口元へ。唇を再度奪うと、依澄の目がゆっくりと閉じていった。
守は舌を依澄の口の中にねじ込むと、受け入れた相手のそれと深く絡み合った。お互いの唾液が入り混じり、二つの唇と舌が摩擦を立てる度にぴちゃぴちゃと卑猥な音がした。
ディープキスを長く長く交わし合いながら、一方で両胸をぐいぐい揉みしだく。依澄の喉がごくりと鳴るのが聞こえた。乳首を指で強く押し潰すと、喉の震えが強まった。
一分近く絡み合った口をようやく離すと、酸欠寸前の二人は同時に荒い呼吸を行った。
「……はっ、……はっ、……はっ、」
「……は……っ、……は……っ……」
ぼんやりと目を開ける依澄。
「……は……っ…………ひあっ!?」
不意に頓狂な声を上げた。
守がスカートの中に右手を突っ込み、股間を撫でたためだ。
「柔らかいな……」
太股から股間にかけて撫であげていく守。その肌触りは干したての布団のように柔らかく、気持ちいい。
スカートをめくり上げる。白い下着と、負けないくらい白い肌が眩しく飛び込んできた。蠱惑的な脚線美は芸術的な感動さえ沸き立たせる。
守はショーツに手をかけた。膝から足首までずらしていくと、脚が艶めかしくうごめいた。
恥ずかしさに依澄は脚を閉じようとする。守は両手でそれを防ぎ、大事なところが見えるように横に開いた。
「……」
泣きそうな顔で依澄は目を背ける。
外気に晒された秘部は既に濡れていた。
恥毛の下に見える秘唇は透明な粘液で妖しく煌めいていた。先程のディープキスや胸への愛撫がよっぽど効いたのだろうか。熱の籠った雌の匂いが強く鼻に広がる。
指で筋をなぞる。温かい液がまとわりつく。秘所をよく見ようと顔を近付けると、両脚が小さく暴れた。
「ちょ、依澄さんっ」
顔を上げると依澄が真っ赤になって睨んできていた。あまり恐くない。というか逆に可愛く見える。
「ちゃんとほぐさないとあとで痛いかもしれないよ」
「……」
しばしの間。
「だから少しだけ我慢していてほしいんだけど……」
「……ずるい」
守は眉根を寄せた。
「……は?」
「守くんばかりずるいです……私も、したいのに」
「…………」
守は自身の姿を見直す。まだ服は一枚も脱いでいない。
「あー……じゃあ、その……」
「……」
軽く頭を掻いてから、守はおもむろに服を脱ぎ始めた。
守はジーンズを下ろし、下半身を露出させた。
上は薄いシャツ一枚だ。中途半端に服を着ている依澄と比べると、だいぶ裸に近い。
硬化した逸物が縦に揺れる。依澄が小さく息を呑んだ。
二人は膝立ちで向かい合うと、互いの下腹部に手を伸ばした。守の手が依澄の陰部を、依澄の手が守の陰茎を、それぞれ捉える。そして同時にしごき始めた。
依澄の柔らかい手が逸物を上下にしごく。
(うわ……ヤバい)
人にされるとこんなにも刺激が強いのか。たどたどしい手つきが、逆に手加減がわからない分気持ちいい。
このままされるがままになっているのもいいかもしれない。しかしそれでは依澄の体を楽しめない。思い直して愛撫を開始する。
守の右人差し指が膣口の中へ侵入する。愛液が染み出てくる内部をゆっくりと進むと、依澄が体をびくりと硬直させる。瞬間的に強烈な締め付けが指を襲った。
強引に指を曲げ、側襞を擦る。
「あっ」
依澄が顔を歪めた。短い悲鳴と共に体をくの字に曲げ、守の胸に寄りかかる。
依澄の握力が弱まった。守はだんだん擦る勢いを強くしていく。愛液が湧き出すように指に伝っていく。量は増える一方だ。
「ふ……あ…………ぁ、あん……っ」
涎を垂らしながら恍惚の表情を浮かべる幼馴染み。もう陰茎をろくに握ることも出来ず、体中に快楽の波が襲っているようだ。
親指で小さな豆部分をいじってやると、いよいよ叫声を上げた。
「んん──っ! あぁ!」
びくんっ、と痙攣するように体を震わせ、依澄は前のめりに倒れた。守は慌てて支える。脱力した体は、重力に身を任せて何の抵抗感もなかった。
慎重にベッドに横たえると、荒い息を吐きながら依澄がぼう、っと虚空を見上げた。
守は絶頂を迎えた幼馴染みの姿に軽く後悔した。ちょっとやりすぎたように思った。
乱れた衣服を孔雀のように広げ、依澄はテンポの速い呼吸を続ける。
しばらく待っていると、小さな声で何かを囁いた。
「……」
うまく聞き取れない。
「え、なに?」
「早く……入れて、下さい」
ストレートな申し出に守は絶句した。
「早く……」
イったばかりなのにテンション自体は上がりっぱなしなのだろうか。こんな状態になっても言霊は抑えているようだが、あまり持ちそうにない。
ならばさっさと終わらせて、彼女を楽にしてあげよう。
だがそこで大事なことに気付く。
「そういえばゴムがない」
静梨としたときも避妊だけはしっかりしていた。あのときは静梨があらかじめ用意してくれたが、さすがに依澄が都合よく持っているとは思えない。
依澄は落ち着いてきた息を止め、さらりと言った。
「そのまま……どうぞ」
「……いやいやいやいや」
簡単に言わないでほしい。大事なことなのに。
依澄はゆっくりと首を振る。
「大丈夫……妊娠しません」
「……は?」
依澄が軽く説明する。神守の者は魂を肉体に干渉させ、ある程度肉体を操ることが出来る。それを応用して受精しないように排卵を抑えることが出来るらしい。
にわかには信じられない話だ。
「だから大丈夫……って?」
頷く。大真面目に本気の目だ。
こういうときはどうすればいいのだろうか。今から買いに行った方がいいのかもしれない。しかし待たせるのも悪い気がする。
「……」
最終的な決心を生み出したのは、依澄の重圧的な目だったかもしれない。上目遣いに見つめられて、耐えられなくなったのだ。
「わかった。そのまま入れるよ」
依澄は嬉しげに微笑み、こくりと頷いた。
正常位から一気に奥まで貫いた。
「────!!」
激しい叫声が耳をつんざいた。初めてだったのかもしれない。
「初めて?」
「……っ」
昼間やられた猫手で、再度叩かれた。
やっぱり痛くない。不意に嬉しくなる。
「依澄さんの初めて、もらったんだね」
「……」
じと目で睨まれても威圧感はない。むしろ逆効果だ。
守は一呼吸おくと、ゆっくりと腰を前後に動かし始めた。
最初に訪れた感覚は痛みに近かった。ただでさえ狭い処女の穴が、動きに抵抗するように収縮を重ねてくる。
ゆっくりとカタツムリのように押し進め、逸物を根元まで挿入する。それから腰を引いて、亀頭だけを中に残して引き抜く。処女の中は火のように熱く、締め付けは万力のようだった。
襞々が肉棒全体に絡み付く。何か別の動物にくわえ込まれているような感覚に、守の脳はくらくら揺れた。
「……あっ……あっ……いっ、あっ、ああっ、あっ」
依澄の喘ぎが次第に昂っていく。痛みはあるだろう。だがそれを押し返してしまうほどの快感も、別に起こっているように見えた。
内を擦りあげられている感覚はどのようなものなのか、守にはわからない。だがきっと気持ちいいのだろう。そうでなければこんなに積極的に脚を絡めてくるはずがない。
開きっぱなしの口に何度目かのキスを送る。愛しい想いをぶつけるように、唇をマイナスの距離にまで縮め合う。
胸の辺りに乳房が当たる。心臓の鼓動が微かに伝わり、互いの興奮が伝染しそうに感じた。
「ふっ、ふうっ」
「あん……あっ、ん……あっ、あんっ」
一段と腰の動きが速まる。依然としてきついことに変わりはないが、抵抗はかなり弱まっていた。
依澄の喘ぎが甲高く響く。
たまらない気持ちよさが全身を駆け巡った。ぐちゃ、ぐちゃ、と粘液がいやらしい音を立て、淫靡さに拍車をかけた。
初恋の相手が胸元で悶えている。その事実が守をさらに興奮させ、逸物に強烈な射精感を促した。
「依澄さん、そろそろ……」
耳元で囁くが、依澄は喘ぎに喘いでいるせいか答えない。
このままでは中に出してしまう。依澄の説明があったとはいえ、やはり多少の危惧があった。
数秒後、守は出そうになって抜く準備をした。腰をおもいっきり引こうと力を込め、
瞬間、依澄に強く抱き締められた。
「い、依澄さん!?」
「んっ、あっ、あぁ、あぁんっ」
あまりの急な事態に対応出来ず、守は勢いよく子宮内に精の塊を放出した。
「あぁぁっ!」
部屋全体を震わせるような叫び声を上げ、依澄は二度目の絶頂を迎える。
あまりの気持ちよさに守は抜くことが出来ない。断続的に続く射精の波を、全て依澄の胎内に注ぎ込んでいく。
依澄の体が急速に弛緩していく。守も精液を吐き出し終えると、糸が切れたように依澄の上に倒れ込んだ。
しばらく何も言えないまま、互いの体を抱き合っていた。