続・手をつないで・6
◇ ◇ ◇
翌朝。
一向に熱が下がらないので、仕方なくお母さんに付き添ってもらって、病院へと行きました。
診断の結果は異常なし。単なる疲労ということで、安静にしておくように言われました。
帰宅して、途中で買ってきた清涼飲料水をたくさん飲んで、私はまたまたベッドに入ります。いりすちゃんが体から離れて、ベッドの傍らに腰を下ろしました。
『あいつが心配してたよ』
言われて、昨日白草くんをメールで呼びつけたことを思い出しました。昨日は寝込んでいて応対できなかったので、悪いことをしました。
『夕べはごめんね。ひとりにしちゃって』
「何か、あったの?」
『……実は物陰から見ていたの。相手の正体を確かめるために』
いりすちゃんは申し訳なさそうに言いました。
つまり、私のそばにいると相手は現れそうにないので、少し離れた場所で観察していたのだそうです。
『おとりにしちゃってごめん。体の調子も悪いのに』
「私は気にしないよ。ただ、いりすちゃんの姿がなかったから、ちょっと心配した」
『……ごめん。でも、相手の正体はだいたいわかったと思う』
「本当?」
いりすちゃんはうなずき、そして相手の名前を口にしました。
それを聞いて、私は一瞬何を言われたのか理解できませんでした。
そんなことが……ありうるのでしょうか?
『あいつの考えだけどね。私も物陰からだったけど、一応確認してる』
「……だとしたら、私はどうすればいいの?」
これは私の問題です。できることなら、自分で解決したいです。
何か私にできることはないでしょうか。
『一応、今夜にもどうにかするみたいよ』
「白草くんが?」
『そのときかなえにもやってもらうことがあるみたい。たいしたことじゃないそうだけど。ま、それまでかなえは安静にしてなさい』
「……いつも助けてもらってばかりだね、私」
『そんな顔をしないで。かなえにできることはちゃんとある』
「え?」
いりすちゃんは元気づけるように、にっと笑いました。
『お礼を言うことよ。それはとても大事なことでしょ』
「お礼……?」
『初めて会ったとき、かなえが私にありがとうって言ってくれたじゃない。あれ、本当はすっごくうれしかったのよ』
初めて会ったときのことを思い返します。
あのとき、たしかいりすちゃんはふてくされたような顔をしたと思いますが。
『……照れ隠しに決まってるじゃない、そんなの。とにかく、そういうお礼の言葉って、やっぱりうれしいものだから、もしかなえが何かしたいと思うなら、あいつにお礼を言えばいいわ。問題が解決したあとにね』
「……そうだね」
そうです。私にできることをきちんとする。それを忘れてはなりません。
いりすちゃんは微笑むと、小さな声でつぶやきました。
『……私も、できることをするわ』
「え?」
そのときのいりすちゃんの笑みは、どこか寂しげでした。