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ある失恋話(後編)・6


          ◇     ◇     ◇

 帰宅して、正志はすぐに自室へと向かった。
 自分が住んでる家なのに、なんだか違う空間みたいだった。階段を登る足がどこかおぼつかない。
 扉の前まで来て、正志は一旦立ち止まる。
 深く息を吐いて気持ちを落ち着かせてから、正志はゆっくりドアを開いた。
 ベッドの上に、沙織はいた。
 ちょこん、と正座をしていた。若干不安げな目でこちらを見つめてくる。正志は近付くと、
ベッドの縁に腰掛けた。
「……何を買ってきたの?」
「……コンドーム」
 それを聞いて沙織の顔が真っ赤になった。
「そ、そう。……ひ、必要だもんね」
「うん」
 沙織の緊張は簡単には解けそうにない。
 それを見ると、逆に正志の方が落ち着けた。相手が極端に緊張しているせいか、自分の
緊張が大したことないように思えてくる。
「……いいかな?」
 正志は少しだけ迷い――結局ストレートに尋ねた。
「――――」
 沙織は言葉を詰まらせる。
 正志はじっと相手を見つめて、返事を待った。
 しばらくして、ようやく沙織がひとつ頷く。
 それを確認すると、正志は小さく微笑みかけた。
 少しは安心してくれるだろうか。自分の微笑なんかで、彼女は落ち着いてくれるだろうか。
 沙織は一瞬戸惑った表情になり、それから笑顔を返してくれた。
 それがすごく嬉しくて、正志は思わず沙織を抱き締めていた。
 お風呂上がりの、優しく甘い匂い。
 沙織は体を強張らせたが抵抗はしなかった。おずおずと細い腕を正志の背中に回してくる。
 正志は眼鏡を外して枕元に置くと、沙織の頬に手を添えた。
 綺麗な唇に優しく口付けると、また沙織の体が強張った。
 それでも抵抗はない。本当に、正志を受け入れてくれる。
 二度、三度とキスを交わすと、少し慣れてきたのか、沙織の方からも唇を押し付けてきた。胸や脚も強く当たり、女の子の柔らかい感触に正志は興奮する。
 舌を差し込む。意外にも沙織の体は硬くならなかった。あっさりと口内への侵入を受け入れ、逆に舌を絡めてきた。
 唾液が口の中で混ざり合う。
 熱が舌から舌に伝導し、液が唇をだらしなく濡らした。口同士の繋がりは呼吸を阻害して、体温を上昇させた。
 唇を離すと、二人は荒い呼吸を繰り返した。酸素が足りず、頭がふらついた。
「は、激しいね」
「でも、気持ちいい」
 沙織は躊躇する素振りを見せたが、小さく頷いた。
 正志は沙織の脚に触れる。
「あ」
 スカートの内側に右手を滑り込ませる。太股の感触はひどく滑らかだ。
「んっ」
 さすがに沙織も身をよじるが、正志は少々強引に突破しようとした。
 スカートを捲ると、ピンクの下着が覗いた。
 下着に触れる。その隙間から指を滑り込ませる。
「あっ」
 秘所に触れた瞬間、沙織は声を上げた。
 割れ目に沿って人差し指でゆっくりとなぞる。柔らかい。
 強く力を入れると指が中に少しだけ沈む。
「い……」
 沙織が表情を歪めた。はっきりと苦痛の色を浮かべたので、正志は慌てて指を離した。
「ごめん、痛かったよね」
「急に力入れられたから……もう少し、優しくして」
 再度下着の中に手を入れ、陰部に触る。言われたとおりできるだけ優しく、指の腹で撫で擦った。
 最初は顔をしかめるだけだったが、次第に沙織の呼吸は荒くなっていった。
 割れ目から徐々に液が染み出てくる。粘り気のある透明な液体は指によく絡んだ。熱を含んだ液体は、沙織の興奮の高まりを教えてくれるようだ。
 正志は左手で沙織の体を抱き寄せると、背中越しに左胸を触った。
 薄い布地の服なせいか、柔らかさはあまり阻害されていない。豊かな胸の感触はまるで突きたてのモチのようだ。
 右手で下腹部を、左手で胸を愛撫する。抱きかかえるような体勢のため、互いの顔はすぐ触れられる程に近いが、沙織は恥ずかしいのか顔を左側に逸らしている。
 正志は左手を胸から離すと、沙織の後頭部に支えるように添えた。そのまま反対側に向いている顔を自分の方へと向かせた。
「あ……」
 すぐそこにある、幼馴染みの瞳。
 それを直視しながら、正志はまた唇を重ねた。
「ん……んん……」
 キスをしながら、右手の指を再び中に沈める。沙織の体がぴくりと震えたが、舌で口中をねぶると抵抗はなくなった。
 先程よりも緩んだ割れ目から中に侵入する。襞々に触れ、中の膣道をじわりじわりと押し進んでいく。
 中に入れた指を支えに、親指で陰核に触れてみた。
「んん!?」
 はっきりした反応が現れた。唇を離すと沙織は声を上げて喘いだ。
「んっ、だめっ、そこは触っちゃ……」
「ここがいいの?」
 小さな突起をこね回すと、目に見えて沙織は体を揺らした。
「やっ、だめだってばぁ……」
「でも沙織さん、気持ちよさそうだよ」
「うう……」
 羞恥心が強いのか、沙織はまともに言葉を返せなくなってしまう。
 正志は沙織に微笑みかけると、頬にキスをした。
「かわいいよ、すごく」
 その言葉に沙織は戸惑った表情を浮かべる。
「かわいいって……ひあっ!」
 強めに陰核を押し潰すと、沙織は嬌声を上げてのけ反った。
 正志は首筋に吸い付きながら、右手でひたすら秘所を弄る。染み出す液は量を増し、指の根本にまで垂れてきていた。
 左手で胸のボタンを器用に外す。薄布が剥がされ、仰向けでも膨らみのはっきりした裸の乳房が現れた。
 服の下に何も着けていなかったことに正志は驚く。
「沙織さん?」
「こ、この方が正志くんしやすいかなと思って、その、お風呂から上がったときに……」
 小声で沙織が答える。
 正志は目の前の胸の美しさに感動しながら、その先端に顔を近付けた。
 乳首に吸い付くと、沙織が肩を震わせた。
「正志くん、あ、あんまり強く吸わないでね。痕がついちゃう……」
「……」
 むしろつけたいのだが。
 正志は答えずに左手で胸を鷲掴んだ。
 張りのある胸から伝わる弾力は魅惑的な感触だった。ずっとこのまま揉んでいたい。そう思わせる魔力が、この二つの膨らみにはある。
「んぅ、やぁん」
 揉んで、舐めて、弄って。上も下も沙織の体は唾液や愛液でぐちゃぐちゃで、正志の下腹部はジーンズの中で痛いくらいに張り詰めていた。
 下の下着も脱がす。意図を汲んだ沙織が脚を持ち上げてくれた。肉付きのいい太股から細い足首にショーツをずらしていく。
 下着が脚から離れるのを確認して、沙織が上体を起こそうとした。体を離すと、沙織は上のブラウスを脱いでスカートだけの恰好になる。
「正志くんも脱いで……」
 言われて正志は服を脱いでいく。潤んだ瞳に操られるように、シャツを脱ぎ、ジーンズを下ろす。
 残ったトランクスも下ろし切り、正志は全裸で沙織の眼前に膝を着いた。
「これが、男の人の……」
 呆然と呟く沙織。正志は苦笑する。
「本当はもう見られてるはずなんだけどね」
「憶えてないもん……」
 沙織は拗ねたように唇を尖らせた。
 正志は沙織に寄り添うと、彼女が身に付けている最後の一枚を剥いだ。
 スカートがベッドの下に落ちる。これでもう、邪魔するものはない。
 硬直しきった男性器に避妊具を被せると、正志は沙織に正対した。
「いいかな」
「……うん」
 返事を聞くや、正志は沙織の体を優しく押し倒した。

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