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彼女の至福・3


          ◇     ◇     ◇

 お風呂から上がり、ぼくらは文花の部屋でまったりと過ごした。
 ベッドに並んで横になりながら、何を話すわけでもなく軽いスキンシップを繰り返す。髪を撫でたり、頬を触ったり、キスをしたり。
 文花はまったく口を開かず、でもとても楽しそうに微笑んでいる。
 幸せそうな笑顔にぼくもつられてはにかんだ。
 文花が体を寄せてくっついてきた。小さな頭をぼくの胸に押し当てると、一言だけ呟いた。
「大好き」
 真っ直ぐ放たれた言葉にぼくの心臓が大きく跳ねた。
 ぼくにだけ向けられる、彼女の想い。
 ぼくだけの彼女。
 嬉しさで胸がいっぱいになる。
「…………」
 と、嬉しさだけで済めばいいのだけれど、
 あいにくこっちは欲望に忠実な高校生なわけで、
「文花」
 ぼくは文花にのしかかると、有無を言わせず唇を奪った。
 驚いた目を向けてくるが無視。強引に舌をねじ込み、相手の口内をねっとりとなぶる。
 たっぷり十秒は味わって唇を離すと、細い透明な糸が繋がっていて、すぐに重さに耐えかねて滴り落ちていく。
 文花が小首を傾げて言った。
「火、つけちゃった?」
 ぼくは首を振る。文花、それは違うよ。
「文花を好きになった時から、火はもうずっとつきっぱなし」
「っ」
 文花は赤くなった顔を逸らした。
 ぼくはそんな文花のパジャマを脱がしにかかる。
 文花もぼくの服に手をかけて、お互いに脱がし合う。
 中途半端に脱がしたところで我慢できなくなって、漲った性器を腰に押し当てると、文花は呆れたように肩をすくめた。



 それから明け方近くまでひたすら快楽を求め合った。
 最初は正常位で一回。それからバックと側位で達した後、シックスナインで互いをイカせ合って、対面座位でさらに二度の回数を重ねた。
 そのあと疲労と快感に包まれながら昼過ぎまで眠りこけていたのだけど──
「もうこのまま文花を軟禁していたいな」
「……ふぇ?」
 昨日から数えて都合七回目のセックスに耽りながら、ぽつりと呟く。
 起きたらなんとなくまた熱が高まって押し倒してしまったわけだけど……客観的に見てさすがにやり過ぎだよね。
 文花はとろんとした目でぼんやりぼくを見つめてくる。
「軟禁して、朝から晩までずっと文花とえっちなことをして過ごしたい」
「……」
 いや本当に一生これだけヤっていたいくらいです。
 文花はくすりと笑った。
「ケダモノ」
 さらりと毒を吐かれた。今の状況では何も言い返せないので、ぼくは軽く落ち込む。
「でも」文花が続けて言った。「それもいいかも」
 この子はどうしていつもこちらが喜ぶことばかり言うのか。
 文花は息を弾ませながら嬉しげに言った。
「耕介くんと一緒なら、私はずっと幸せだから」
 それはぼくも同じだ。
 文花を抱きながら、ぼくは幸せを噛み締めた。



 そのあと文花の両親が帰ってくる前に、急いで身支度を整えて家を飛び出したために、ほとんどゆっくりした時間を過ごせなかったのは自業自得だったけど。

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