◇ ◇ ◇
柔らかいベッドの上で、彼女とつながって一つになる。ショーツの内側を探ってみたら、もう前戯の必要もないくらい濡れすぼっていて、ぼくは文花の脚を持ち上げてその下着を剥ぎ取った。それから急いで自分の服を脱いで、膝立ちで彼女に近づく。そのまま腰を抱えて挿入を試みると、狭い割りに簡単に呑み込まれた。
「は……ああ……」
文花が大きく息を吐き出した。ぼくも呼応するように息をつく。
振袖はほとんど脱げて、羽のように大きく広げられている。長襦袢も体の半分くらいしか隠していない。
体全体で密着するようにかぶさると、文花の温もりが直に伝わってきて、たまらなく気持ちよかった。下半身を揺さぶるように動かすと、しびれるような快感が脳にまで響いてきた。
彼女の形のいい口から漏れる小さな喘ぎ声が、高まりを助長する。
普段はなかなか開かれないその口から、快楽に翻弄される声が出ると、それだけでうれしい。
顔の表情もとろけ、余裕なんかとっくに失われている。かくいうぼくの方も、あまりもたないような気がした。
彼女の腰を持ち上げて体位を変える。文花の体を横向きにさせて、股間が交差するようにつながりあう。側位はより深く入るような感じがして、お気に入りの姿勢だ。
ゆっくりと味わうように腰を前後させる。中の襞々がぼくのものに絡み付いてきて、締め付けも強くなった。文花が少し辛そうにぎゅっと目をつぶる。刺激が強いせいだろう。正常位とはまた違ったこすれ方をするため、さっきまでのペースに慣れているとだいぶ具合が変わってくる。
左手でおしりから太ももにかけて撫で回しながら、ぼくは腰のスピードを速めていく。右手で形のいい胸の先を弄ると、文花は敏感に反応した。「んっ……んっ……」と声を押し殺そうとしているところを激しく突いてやると、「あっ!、あっ……!」と喉を震わせてかわいらしく鳴いた。
もっと気持ちよくなりたい。もっと気持ちよくなってほしい。
文花の上体を抱き上げる。脚をうまく内側に入れて、対面座位の体勢に変化した。文花は力がうまく入らないのか、ぼくの体にもたれかかった。
腰を上に突き上げるように動かす。
「んんっ……ああっ」
動きに合わせて響く嬌声に、我慢が利かなくなる。さらに激しく動いて、ぼくは彼女の中をひたすらに犯した。中での往復を何度も何度も繰り返して、入り口から奥の方まで容赦なく蹂躙した。
達するまでそれほど時間はかからなかった。射精感がこみ上げてきて、ぼくは彼女の体を両腕で閉じ込めるように抱きしめた。
下腹部にしびれるような刺激が一際強く走った。密着したままおもいっきり中に出して、ぼくはしばらく射精の快感に酔いしれた。
文花がぼくの体にしがみついて、何かに耐えるように身を強張らせている。呼吸を止めていたのか、やがて苦しげに大きなため息をついた。
「……きつかった?」
ちょっと急すぎただろうか。最後はやや乱暴になってしまったかもしれない。痛くしてしまったんじゃないかと心配になった。
文花は何度か深呼吸を繰り返した。
「文花?」
「……大丈夫」
まだ少し乱れた呼吸をしながらも、文花は答えた。
「しばらくこのままでいようか」
ぼくの提案に文花はこくりとうなずく。
抱き合いながら、そっとキスをする。激しくはない、愛情を確かめ合うような軽めのキス。
キスだけじゃなく、髪を梳いたり、頬をくっつけたり、背中を撫でてやったり。つながったまま、抱き合ったまま、ちょっとしたスキンシップを繰り返した。それだけで十分心地良かった。
「振袖、汚れてないよね」
汗はともかく、精液や愛液がつくのはちょっとまずい気がする。
幸い付着はしていなかった。肌襦袢に少したれ落ちてしまっていたけど、文花は特に気にしてはいないようだ。洗濯自体は難しくないのかもしれない。でも今度からはきちんと脱がせることにしよう。
文花の息も整ったようなので、ぼくは離れようとした。
しかし、
「……文花?」
背中に回した手を、放してくれない。
文花は、ぼくの顔をじっと見つめてくる。
「次は、優しくしてね」
締め付けが強くなる。
ぼくのものもあっという間に硬さを取り戻す。
「……了解」
言われるがままに、ぼくは行為を再開した。彼女がうれしそうにぼくの頬に口付けをした。
今度は激しさのない、穏やかな交わりだった。
◇ ◇ ◇
その後、ぼくらは二度求め合った。
終わってから、そのまま眠ってしまいたい気持ちもあったけど、文花のお父さんがいつ目覚めるか心配だったので、眠気をこらえて二人で後始末をした。
帰り支度を済ませたところで、文花が約束のDVDを渡してきた。ありがとうと受け取ると、ぼくの彼女は綺麗な笑顔を浮かべた。
青川家を出てしばらくしてから、携帯が鳴った。
確認してみると、短い言葉がつづられた、文花からのメールだった。
『今年もよろしくお願いします。耕介くん。』
ぼくはその、一見なんでもない文面に、文花の心からの愛情が込められている気がして、急いでメールを返した。
『こちらこそよろしく!』